金買取相場比較

コラム

金歯は売れます。ただし純金の単価ではありません

歯の治療で外した金属が手元にある、という話をときどき聞きます。売れるのかどうかで言えば、売れます。買い取ると公式サイトに書いている店があります。

ただ、受け取る額は金の価格表の数字とは別になります。日本の保険診療で使われてきた「金歯」は、純金ではありません。何が入っているのかは、厚生労働省の告示に品名として書かれています。そこから順に見ていきます。

「歯科で使ったもの」を買い取ると書いている店はある

まず、持ち込む先があるかどうかです。当サイトが掲載している店の中に、はっきり書いている社があります。

「金杯、金歯など歯科で使用したもの、など金やプラチナが少しでも含まれているものはすべて買取対象です。」

「金歯 交換で不要になった金歯、買取できます。」

「工業用・歯科スクラップも買取強化中」

書いていない店が断るとはかぎりません。当サイトが読んだページに載っていなかっただけで、店頭で聞けば受け付ける場合もあります。ただ、先に「扱っています」と読めるかどうかは、持っていく前の判断材料として別のことです。

「金歯」の中身は、品名に書かれている

保険が利く治療で使う材料は、国が品名と価格を決めています。その一覧に、歯科で使う金属が並んでいます。よく「金歯」と呼ばれてきたものは、これです。

「006 歯科鋳造用金銀パラジウム合金(金12%以上 JIS適合品) 1g 5,746円」

品名がそのまま答えになっています。金銀パラジウム合金で、金は12%以上。いわゆる金パラです。残りはパラジウム、銀、銅です。宝飾品として売られている金とは、入っている金の量がまるで違います。どれくらい違うのかは、この記事の後ろで実際の単価から計算します。

同じ表には、純度の違う金合金も、銀が主体の合金も載っています。歯に入っていた金属は一種類ではありません。

「002 歯科鋳造用14カラット金合金 インレー用(JIS適合品) 1g 16,789円」

「011 歯科鋳造用銀合金 第1種(銀60%以上インジウム5%未満 JIS適合品) 1g 327円」

これは保険診療の一覧なので、保険の利かない治療で使われた金属は出てきません。純度は現物を見てもらうほかありません。

この一覧の金額は、買取価格ではありません

検索すると「金パラは1gあたり5,746円」という数字が出てきます。上に引いた告示の金額です。ただ、これが何の金額なのかは、同じ告示の冒頭に書かれています。

「特定保険医療材料及びその材料価格は、別表に収載されている特定保険医療材料及び当該特定保険医療材料について同表に定める価格(消費税及び地方消費税に相当する額を含む。)とする。」

診療報酬として算定される価格です。歯科医院が治療に材料を使ったときに、いくらで計算するかという額で、誰かが買い取る値段ではありません。消費税も含まれています。

向きを見れば分かります。同じ表の14カラット金合金は1gあたり16,789円ですが、当サイトが集めているK14の買取単価は、掲載18社の中央値で1gあたり12,592円です。材料価格のほうが4,197円高い。買うときの値段と売るときの値段が同じにならないのと同じで、別の種類の数字だということです。

この告示は、改正が繰り返されています。改正文の一覧を見ると、3月・6月・9月・12月の1日付のものが並んでいます。当サイトが読んだ時点で最後に載っていたのは、次の1件でした。

「改正文 (令和八年五月二九日厚生労働省告示第二三二号) 抄 令和八年六月一日から適用する。」

つまり、この5,746円という額も固定ではありません。よその記事で見かけた数字が、すでに古いこともあります。

では、買取価格はいくらなのか

ここが調べにくいところです。2026年10月13日に掲載25社の価格表を読んだところ、歯科材の1gあたりの金額を数字で出していたのは1社だけでした。

「Au12Pd20歯科材 銀歯要問合せ」

この行に出ている金額が、2026年10月12日時点で1gあたり3,339円です。保険の材料価格5,746円に対して58.1%にあたります。

もう1社は、価格表に項目はあるものの、金額の欄が「ASK」でした。問い合わせないと分からないという意味です。

「金12%パラジウム20% ASK」

この金額をどう見るかは、中身から計算できます。品名の「Au12Pd20」のとおり、金が12%、パラジウムが20%です。どちらも1gあたりの買取単価が公表されているので、そのまま掛けます。

金属割合1gの単価1gの中の額
金12%22,253円2,670円
パラジウム20%5,292円1,058円
銀・銅残り数えない—
2つの合計3,728円

金の単価はK24(純金)の掲載19社の中央値、パラジウムは純度1000の公表値です。銀と銅は数えていないので、3,728円は中身の価値の下限です。実際にはもう少し高くなります。

その下限に対して、買取価格3,339円は89.6%です。中身の金属の価値を下回っています。溶かして金属ごとに分ける手間があるので、そのぶんが引かれていると読むのが自然ですが、理由は公表されていません。ここで言えるのは「金が入っているから金の値段になる」わけではない、ということです。

K24(純金)の単価が1gあたり22,253円の日に、同じ1gの金パラが3,339円です。およそ6.7分の1になります。金の価格表を見て額を想像すると、何倍も外れます。

持ち込む前に決まっていないこと

  • 1本が何グラムかは、ここでは言えません。形も大きさも治療ごとに違います。当サイトは1gあたりの数字しか持っていないので、重さは店のはかりで量ってもらうことになります。はかりの決まりは買取店のはかりは、信用してよいのかにまとめています。
  • 歯や土台が付いたままの重さの扱いは、店ごとに違います。セラミックやレジンは金属ではないので、その分をどう扱うかで額が変わります。石が付いた品物についての各社の記載は「1gいくら」は、店ごとに同じ意味ではないで引いています。
  • 金パラと銀合金は、別の値段です。上に引いた価格表の行にも「銀歯要問合せ」と添えられています。見た目で自分で決めずに、聞いたほうが確かです。保険の材料価格でも、銀合金第1種は1gあたり327円で、金パラの5,746円とは桁が違います。
  • 多くの店は、事前に単価を出していません。宝飾品の金のように「今日は1gいくら」と並んでいるわけではないので、持っていく前に比べることが難しい品目です。

少量だと、単価から引かれるものの影響が大きくなります。何がいくら引かれるかは金買取の手数料は、どこでいくら引かれるのかに各社の記載を集めています。

この記事について

材料価格は厚生労働省の法令等データベースにある告示の原文から、2026年10月13日に読んで転記しました。各社の記載も同じ日に公式サイトから引いています。要約ではなく、書かれている文をそのまま載せています。引用した文が出典から消えていないかは、当サイトの日次の点検で毎日取り直して照合しています。

買取単価とK24(純金)・K14の中央値は毎日取得し直していて、このページの計算はその日の値で作っています。中身から計算した額は、品名に出ている金とパラジウムの割合だけを使った下限で、銀と銅は数えていません。実際の査定は店の基準によります。

当サイトは歯科の専門家ではありません。治療で入れた金属の扱いについて決まりを案内するものではなく、ここに書いたのは「告示に何と書いてあるか」と「各社が何を公表しているか」です。

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