金買取相場比較

コラム

質屋に金を持ち込むと、売ったことにはなりません

金の買取店を探していると、質屋も一緒に出てきます。 同じ店が「売る」と「預ける」の両方を扱っていることも多く、カウンターも同じです。 ただし契約は別のもので、守っている法律も違います。

買取は売買で、その場で所有権が相手に移ります。質入れは品物を預けてお金を借りる契約で、返せば品物は戻ります。 何が決まっているのかを、質屋営業法の条文で確かめました。

質屋営業は、買い取る商売ではない

「この法律において「質屋営業」とは、物品(有価証券を含む。第二十二条を除き、以下同じ。)を質に取り、流質期限までに当該質物で担保される債権の弁済を受けないときは、当該質物をもつてその弁済に充てる約款を附して、金銭を貸し付ける営業をいう。」

条文の最後は「金銭を貸し付ける営業をいう」で終わります。品物は担保で、 返さなかったときに代わりに充てるもの、という組み立てです。 店の説明も同じ書き方をしています。

「質はお客様の大事な品物を一旦お預かりし、その品物の価値に合わせてご融資をさせていただきます。」

預けられる期間は、3か月を下回らない

期限は店が決めますが、短くできる下限が法律で止められています。

「前項第三号の流質期限は、質契約成立の日から三月未満(質置主が物品を取り扱う営業者であり、かつ、その質に入れようとする物品がその取り扱つている物品である場合においては、一月未満)の期間で定めてはならない。」

「三月未満の期間で定めてはならない」ので、個人が持ち込む場合は最低でも3か月あります。 実際の店の案内も3か月です。

「お預かり期間は3ヶ月間で、期限内に元金と保管料をお支払い頂ければ、お預かりした品物はお客様の手元に戻ってきます。」

「期間内に返済できなそうな場合は保管料を追加で支払うことでお預かり期間を延長することが可能です。」

延長できるかどうかは店によります。延長の条件は法律ではなく各店の約定なので、 預ける前にその店の掲示を読んでください。

期限前なら、いつでも戻せる

「質置主は、流質期限前は、いつでも元利金を弁済して、その質物を受け戻すことができる。」

「いつでも」と書かれているので、3か月待つ必要はありません。 相場が上がったから売ることにした、翌週に返せるようになった、どちらでも構いません。 ただし戻すには元金と利息(店によっては保管料と呼びます)の両方が要ります。

期限を過ぎると所有権は移る。ただし借金は残らない

「質屋は、流質期限を経過した時において、その質物の所有権を取得する。」

期限を過ぎた時点で、品物は質屋のものになります。これを流質といいます。 同じことを店はこう書いています。

「保管期間内に期間の延長やお手元に戻されない場合、お預かりした品物の所有権が当社へ移ります。」

「その場合でも 元金の返済済義務はなく、取り立てなどない安心なシステムです。」

品物を失う代わりに、返せなかったお金の請求は残りません。ここが借入れと違うところで、 貸した側は品物で回収を終えます。 品物の値段が借りた額より高くても、差額が戻ってくるわけではありません。

なお、質入れ自体は売買ではありませんが、流質で所有権が移ったあとの税の扱いは事情によって変わります。 売った場合の考え方は 金を売って税金がかかるのは、売った額ではなくもうけですにまとめていますが、質流れに当てはまるかどうかは税務署か税理士に確認してください。

利息の上限は、ふつうの借入れと違う

質屋営業法の第36条は、出資法の金利の上限を読み替える条文です。 ほかの貸付けでは年20パーセントとされているところが、質屋についてはこうなります。

「百九・五パーセント(二月二十九日を含む一年については年百九・八パーセントとし、一日当たりについては〇・三パーセントとする。)」

年109.5パーセント。1日あたり0.3パーセントという書き方も並んでいます。 これは上限であって、各店がこの率で貸しているという意味ではありません。 実際の率は店ごとに違い、同法は利息計算の方法と流質期限を店に掲示させています。 預ける前に、その掲示を読んでください。

少額を短期間借りる前提の商売なので上限が高く置かれていますが、 3か月で受け戻すつもりなら、その3か月ぶんの利息が品物を取り戻す値段になります。 手元の品をいくらで評価してもらえるかではなく、戻すときにいくら払うかで考える必要があります。

審査がないのは、品物で見ているから

「審査・信用調査は一切行いません。」

貸す相手ではなく預かる品物を見るので、収入や勤め先を聞かれません。 一方で、本人確認は買取と同じく必要です。身分証について法律が何を求めているかは 1万円未満なら、法律は本人確認を求めていないで条文を引いています。

売るか、預けるか

売る(買取)預ける(質)
品物その場で相手のものになる期限内に返せば戻る
あとで払うものなし元金と利息
返せないとき—品物で終わり、請求は残らない
金額の目安各社が1gあたりの価格を公表している融資額は公表されていない

買取のほうは、各社が1gあたりの価格を出しているので、持っていく前に比べられます。 融資額を1gあたりで公表している質屋は、当サイトが見ている範囲にはありません。 そのため「質に入れるといくら借りられるか」は、こちらでは比べられません。

手放してよい品なら、まず買取価格の比較で各社の単価と差し引きを見るほうが、金額をはっきりさせられます。 手放したくない品を担保にお金を用意したい、という場合が質屋の出番です。

この記事について

条文は e-Gov 法令検索の原文から、店の記載は公式サイトから、いずれも2026年10月4日に 読んで転記しました。要約ではなく、書かれている文をそのまま引いています (店の引用は、送り仮名や表記も直さずそのままです)。 引用した文が出典から消えていないかは、当サイトの日次の点検で毎日取り直して照合しています。

当サイトは法律の専門家ではありません。ここに書いたのは「条文と店の案内に何と書いてあるか」で、 個別の契約がどうなるかの判断ではありません。 利率も期限も延長の条件も店ごとに違い、法律は下限と上限を定めているだけです。 実際に預けるときは、その店の掲示と約定を読んでください。

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